映画 「エゴン・シーレ 死と乙女」 感想※ネタバレあり。
2017年1月28日から上映中の映画「エゴン・シーレ 死と乙女」を友人と観に行きました。
私はこの映画を観るまでシーレのことを知りませんでした。
あとから知ったのですが、以前購入した元ナチ親衛隊将校の物語「慈しみの女神たち」という書籍の表紙の絵がシーレでした。
映画を観る前に、友人に「まだ活躍してる人なの?」と聞くくらい知識ゼロ。
彼は1918年に大流行したスペイン風邪にかかり、28歳という若さで早逝してました。
映画は1910年、美術アカデミーを退学したシーレが画家仲間と「新芸術集団」を結成し、妹の裸体画を描いていたころから始まります。
シーレが敬愛するグスタム・クリムトから紹介された17歳のモデル、ヴァリと恋に落ち、同棲を開始。
ある出来事をきっかけに、幼児性愛者などと世間から誹謗中傷を浴びることになりますが、ヴァリはシーレを支え続けます。そして裁判では無実の判決。
このあとは、画家として毎日のように絵を描き続けるシーレ、絵の値段交渉をするヴァリの様子が流れます。
シーレ、ヴァリ、向かいの住人の姉妹(のちに妹がシーレの奥さんとなる)が雪の降る夜に、子供のように遊んでいるシーンがお気に入りです。
雪の上に倒れたシーレ。その上にヴァリが乗っかり、これでもかというくらい顔に雪を投げつけます。
私はそのシーンの途中から、ヴァリが普段が普段から抱えている苦悩をシーレに投げつけているように見えました。
時代は第一次世界大戦末期。シーレは兵士に志願します。
そして向かいに住む姉妹の妹との結婚を決めます。
それをヴァリに伝えるシーン。
シーレが浮世絵を見てデザインしたドレスをヴァリに贈ります。
ヴァリは感動してエゴンに抱きつきます。
そこで結婚することを伝え、ヴァリは号泣。
戦地に奥さんを連れていけることを話したのはヴァリ。
そして「私は世界中の誰とも恋に落ちない。結婚しない。」とシーレに伝えていました。
どうすることもできない二人の関係。
そのあとシーレはヴァリと自分の絵を描きます。
それが後の「死と乙女」です。初めのタイトルは「男と乙女」ですが。
翌日カフェでシーレがこんな提案をします。
「結婚しても必ず年に一回、二人でヴァカンスに行く」
もちろんヴァリは怒りでその場を去ります。
このあとヴァリはクロアチアへ従軍看護婦として派遣され、1917年に23歳の若さで病死します。
シーレはこの訃報を自分の展示会を行っているときに手紙で知ります。
自分は死神であると思うようになるシーレ。
「男と乙女」から「死と乙女」にタイトルを変えたのもこれがきっかけです。
シーレとヴァリの運命に感動して、自然と涙が流れました。
二人の階級の違い、第一次世界大戦前後の時代背景、ヌードモデルを描く画家という職業、様々な壁はありましたが、個人的にはヴァリの「世界中の誰とも恋に落ちない。結婚しない」と言った言葉が、二人の運命を大きく変えたように思いました。
そのあと色々調べてみたら、二人の「階級」の違いが大きかったようですが…。
上映後、パンフレットを購入して帰宅しました。
シーレ役のモデル出身、新人ノア・サーベドラの演技にも魅了されます。
Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町で上映してます。